膝の問題についてのお話なのですが、勤務時代、THA等の股関節手術後の患者さんを担当していた頃の話にさかのぼります。
今とは違い当時は大学病院のリハでも股関節内転は禁忌とされいましたので、私の勤務していた所でもそう指導されていました。
ところが、長年の痛みで患側の股関節周囲の筋肉が十分に使えなくなっている患者さんも多く、股関節が安定しないことで痛みや歩行障害が残ることも少なくありませんでした。
そんな時、私は内転筋が使えるようになることを目的に、こっそりアイソメトリックで刺激を入れるトレーニングを行っていました。
すると予想以上に歩行や動作が安定する患者さんが多く、私は初めて「股関節周囲の筋肉の働き」が想像以上に重要なのではないかと考えるようになりました。
当時はまだ、この経験が後に膝の患者さんを見る視点を変えることになるとは思ってもいませんでした。
その後、O脚や膝に水が溜まる患者さんを診る中で、私は同じような違和感を覚えるようになります。
当時のセオリー通りの方法では改善しにくいケースが多く、膝への負担を減らしながら行えるトレーニングとして、股関節周囲のトレーニングを積極的に取り入れるようになりました。
すると、股関節術後の患者さんで経験したのと同じような変化が、膝の患者さんにも現れ始めたのです。
さらに観察を続けると、長年膝に問題を抱えている患者さんには、股関節の患者さんと共通する特徴があることに気付きました。
それは、ある特定の筋肉が十分に使えなくなっていることでした。
当時使用していたアダクション&アブダクションのトレーニングマシンは、遊びの少ない特徴的な構造をしていました。そのため患者さんの動きの癖が結果に反映されやすく、同じトレーニングを行っているように見えても、効果には大きな差がありました。
私はそこで初めて、
「何の筋肉を鍛えるか」
だけでは説明できない何かがあることに気付き始めたので、
改善する人と改善しない人の違いをよく観察するようになりました。
歩行、立ち上がり、方向転換、片脚立ち。
患者さんの動きを見続けるうちに、ある共通した特徴が見えてきたのです。


